終戦が近づく2次大戦末期の大日本帝国。
主人公である折笠は、親友清永と共に召集を受け呉軍港に降り立った。
特攻任務だと思い乗り込んだものは、ドイツの潜水艦Uボートを改装したイ507潜水艦。
日本近海に沈んだ日本の運命を左右する秘密兵器「ローレライ」を回収する特殊任務だという。
執拗に追い回してくる「しつこいアメリカ人」達と熾烈な戦闘を繰り広げ、やっと回収したローレライ。
中に入っていたのは、生身の一人の少女だけだった・・・
ローレライとは何なのか、たった一つの兵器が日本を変えるとはどういう事なのか・・・?
好きな作家が色々いますが、福井 晴敏もその一人。いわゆる、軍事ものがメインの方です。
亡国のイージスやローレライが映画化されて今年は特に話題になっているようです。
今回ご紹介するのは、現在劇場公開されている「ローレライ」の原作「終戦のローレライ」です。
色々この人の作品を読みましたが、ローレライが一番面白かったですね。
メッセージ性が強い作品ですがエンターテイメントとして十二分に楽しめる仕上がりです。
新書では上下二巻。文庫では全四巻と長丁場ですが、読んでいくうちにのめり込み
一気に読めてしまうほどです。特に、ドキドキワクワクするような潜水艦戦が熱いです。
また、艦内の人々の人間模様も見逃せません。
敗戦の香りがし始める2次大戦末期。どこかおかしいと思いつつ戦い続けた日本。
初めての敗戦を経験して50年、バブルが弾けて2度目の敗戦を迎えた日本。
そうした物を描きながらあの戦争はなんだったのか、日本人とは何なのかを問いかける。
惜しむらくは、問い掛けだけに終わってしまい、これからどうすれば良いのか?
と言う部分が弱かった事かな。とは言え戦後60年の戦争小説を代表する作品ですなぁ。
| 終戦のローレライ 上(新書版) | |
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福井 晴敏
おすすめ平均 |
| 終戦のローレライ (1)(文庫版) | |
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福井 晴敏
おすすめ平均 |


世界に誇る日本の軍事スリラー
行間を読ませてくれれば